
快著!!!!
アラブ世界に身を置いて、ネットと国家の情報統制を考えた本。
国家類型タイプ分けとネットの設計を分離して考察したところが優れている。
統制型、ガバメント型、ガバナンス型の三類型に、ネットの情報規制を重ね合わせる。そうすると統制型から一気にガバナンス型に移行する可能性も出てくる。こいう自由な視点で見ている。
また著者が強調するようにネットはインフラとコードの二層で、設計次第でいくらでも情報統制ができる。いわゆるインターネットは民主主義を必然的にもたらす(著者はゴアの95年演説から「ネット95」型と名付ける)のではなくて、いくらでも監視できるしコントロールできる。どのように統制するかは国家の設計次第であるし、その国家が現在、実世界の上で独裁的な統制を敷いていたとしても、ネットの上で自由な展開を企図しており、結果的にガバナンス型に移行することがあり得る。これは明治維新の日本を考えれば想像できるだろう。
要は、ネットをどう取り扱うのかは設計次第と言うことであってネット原理主義者のように「ネットだからこうなる」というのは妄言に等しい。
大変な快著である。
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